肥満症の治療薬「ウゴービ」(一般名:セマグルチド)について。

2023/2/1現在、まだ処方できません。
今後処方可能になったら、当院でも取り扱う予定です。
セマグルチドとは?
2023年1月27日、厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会にて、ノボノルディスクファーマ社の肥満症治療薬「ウゴービ」(一般名:セマグルチド)が承認されました。
今後市販に向けた準備がされていくと思われます。
週1回、自己注射する薬剤となります。
セマグルチドは、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬とよばれる種類のお薬で、体内のグルコースレベルを調節するGLP-1と呼ばれるホルモンの作用を模倣することにより血糖値を下げる作用があります。
また、胃から食べ物が排出される速度を遅くし、満腹感をもたらし、全体的な食事量を減らすので、肥満の患者さんの体重減少に役立ちます。
このため、海外では糖尿病の治療薬として用いられるのみならず、肥満症に対する治療薬としても用いられておりますが、日本では糖尿病に対する適応のみとなっていたため、我が国での肥満症に対する承認が待ち望まれていました。
「ウゴービ」の投与対象となる方は?
肥満症
ただし、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、
食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。
・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する
・BMIが35kg/m2以上
肥満症とは?
医学的には、BMI(体重kg/身長m2)が25kg/m2以上の場合、「肥満」と定義します。さらにBMIが35以上になると高度肥満に区分されます。
肥満の中でも、肥満による11種の健康障害(合併症)が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積がある場合に初めて「肥満症」と診断され、治療対象となります。
肥満による11種の健康障害:耐糖能異常、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症・痛風、虚血性心疾患、脳梗塞、脂肪肝、月経異常・不妊、睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群、運動器疾患(変形性関節症、変形性脊椎症)、肥満関連腎臓病
<参考文献>
日本肥満学会編「肥満症診療ガイドライン2016」ライフサイエンス出版, 2016.
セマグルチドのエビデンス
セマグルチドの肥満症に対する治療効果は、いくつかの国際的な臨床試験で確認されています。
糖尿病の有無に関わらず、いずれも10~15%程度の体重減少効果を認めており、プラセボ(偽薬)と比較し有意差があることが確認されています。
まとめ
肥満症は様々な病気の原因になることが分かっていながら、医学的な治療を行うことは一部の重症の方を除いて困難でした。
食事療法、運動療法が、今後も重要であることに変わりはありませんが、セマグルチドを用いることでより効果的な治療介入を行うことができると期待されます。