top of page

息切れ・呼吸苦の原因と受診目安|危険な症状・何科を受診するかを循環器専門医が解説

​

「階段を上ると以前より息が切れる」

「少し歩いただけで息苦しくなる」

「横になると息苦しく、起き上がると楽になる」

「突然、息が吸えないような感じがする」

​

このような症状を「息切れ」あるいは「呼吸困難・呼吸苦」といいます。

​

息切れは運動不足や加齢でもみられますが、心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症などの心臓病や、喘息、肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患が隠れていることがあります。

​

特に、

​

・以前は平気だった階段や坂道で息切れするようになった

・息切れが徐々に悪化している

・横になると息苦しい

・動悸や胸痛を伴う

・足のむくみを伴う

​

といった場合には、心臓の病気が原因となっている可能性があります。

​

一方、突然強い呼吸困難が出現した場合や、胸痛・意識障害などを伴う場合には、救急対応が必要な病気もあります。

​

このページでは、息切れ・呼吸苦の主な原因、危険な症状、医療機関を受診する目安、何科を受診すればよいかについて解説します。

​

​

息切れ・呼吸苦とは?

​

息切れとは、

​

・空気が足りない感じがする

・息を吸いにくい

・息を吐きにくい

・呼吸が速くなる

・胸が圧迫されるように感じる

・呼吸をするのに努力が必要に感じる

​

などの「呼吸に関する不快感」の総称です。

医学的には「呼吸困難」と呼ばれます。

​

息切れの感じ方には個人差があり、酸素不足だけで起こるわけではありません。心臓・肺・血液・筋肉など、酸素を全身へ取り込み運ぶ仕組みのどこかに異常が生じると、息切れを感じることがあります。

​

​

息切れ・呼吸苦の主な原因

​

息切れの原因は大きく、

​

1.心臓の病気

2.肺・気管支の病気

3.血液や全身の病気

4.その他の原因

​

に分けて考えます。

​

1.心不全

​

心不全は、息切れを起こす代表的な心臓病です。

心臓のポンプ機能が低下すると、肺に血液がうっ滞し、呼吸が苦しくなることがあります。

​

心不全では特に、

​

・階段や坂道で息切れする

・歩くとすぐに疲れる

・横になると息苦しい

・夜中に息苦しくなって目が覚める

・足がむくむ

・短期間で体重が増える

​

などの症状がみられます。

​

「年齢のせい」「運動不足のせい」と思っていた息切れが、実は心不全の初期症状ということもあります。

​

→ 関連ページ:心不全について

​

2.不整脈

​

心房細動、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈などでも息切れが起こります。

心臓の拍動が速すぎたり遅すぎたりすると、全身へ十分な血液を送り出せなくなるためです。

​

・動悸がする

・脈が速い

・脈が飛ぶ

・脈が不規則

・めまいがする

・息切れと同時に胸がドキドキする

​

といった場合には、不整脈を疑います。

​

→ 関連ページ:不整脈について

​

3.狭心症・心筋梗塞

​

狭心症や心筋梗塞というと「胸が痛くなる病気」というイメージがありますが、必ずしも胸痛が出るとは限りません。

​

特に高齢者や糖尿病のある方では、

​

・息苦しい

・動くと息切れする

・胸が重い

・冷や汗が出る

・吐き気がする

​

といった症状だけで現れる場合があります。

​

運動したときに息切れが出て、休むと改善する場合には、狭心症も鑑別する必要があります。

​

→ 関連ページ:狭心症・心筋梗塞について

​

4.心臓弁膜症

​

大動脈弁狭窄症や僧帽弁閉鎖不全症などの心臓弁膜症でも、病気が進行すると息切れが現れます。

​

初期には症状がなくても、

「以前より階段がつらくなった」

「歩く速度が遅くなった」

といった変化が最初の症状になることがあります。

​

心雑音を指摘されたことがある方では特に注意が必要です。

​

→ 関連ページ:心臓弁膜症について

​

5.気管支喘息

​

喘息では、気管支が狭くなることで呼吸がしにくくなります。

​

・ゼーゼー、ヒューヒューする

・夜間や早朝に悪化する

・咳が続く

・季節によって症状が変化する

​

といった特徴があります。

​

6.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

​

COPDは、主に長期間の喫煙によって肺の機能が低下する病気です。

​

初期には、

「階段を上ると息切れする」

程度であることも多く、加齢による体力低下と区別しにくいことがあります。

​

長期間の喫煙歴があり、慢性的な咳・痰・息切れがある場合には注意が必要です。

​

7.肺炎などの感染症

​

肺炎では、

​

・発熱

・咳

・痰

・呼吸苦

・強い倦怠感

​

などがみられます。

​

高齢者では、高熱が出ず「なんとなく元気がない」「食欲がない」「息が速い」といった症状だけの場合もあります。

​

8.肺血栓塞栓症(肺塞栓症)

​

肺血栓塞栓症は、足などにできた血栓が肺の血管を詰まらせる病気です。

典型的には、突然の呼吸困難や胸痛が起こります。

​

・長時間動かない状態が続いた

・手術後

・長時間の飛行機・自動車移動

・片方の足だけ腫れている

・がん治療中

​

などの場合にはリスクが高くなります。

​

重症の場合は生命にかかわるため、突然の強い呼吸困難がある場合には早急な受診が必要です。

​

9.気胸

​

肺から空気が漏れて肺が縮んでしまう病気です。

​

突然、

​

・胸が痛い

・息苦しい

​

という症状が現れるのが特徴です。

​

若く痩せた男性に多い自然気胸のほか、肺疾患のある高齢者にも起こります。

​

10.貧血

​

血液中のヘモグロビンが減少すると、酸素を全身へ運ぶ能力が低下するため息切れが起こります。

​

・疲れやすい

・動悸がする

・顔色が悪い

・立ちくらみがする

​

などを伴うことがあります。

​

女性では月経による鉄欠乏性貧血が原因となることもあります。

​

11.甲状腺疾患などの全身疾患

​

甲状腺機能亢進症などで脈拍が速くなると、動悸や息切れを感じることがあります。

​

腎臓病、感染症、代謝異常など、心臓や肺以外の病気が原因となることもあります。

​

12.運動不足・肥満・加齢

​

病気がなくても、

​

・運動不足

・筋力低下

・肥満

・加齢

​

などによって運動時の息切れが生じることがあります。

​

ただし、「年齢のせい」と自己判断することはおすすめできません。

特に以前できていた運動で息切れするようになった場合には、一度原因を確認しておくことが重要です。

​

13.不安・過換気

​

強い不安や緊張によって呼吸が速くなり、

​

・息が吸えない

・胸が苦しい

・手足や口の周囲がしびれる

・動悸がする

​

などの症状が起こることもあります。

​

ただし、心臓や肺の病気でも似た症状が起こるため、最初から「ストレスが原因」と決めつけないことが重要です。

​

​

息切れから心臓病を疑うポイント

​

次のような息切れでは、心臓病が原因となっている可能性を考えます。

​

・以前より階段や坂道がつらくなった

・歩ける距離が短くなった

・横になると息苦しく、起き上がると楽になる

・夜中に息苦しくて目が覚める

・足のむくみがある

・最近、短期間で体重が増えた

・動悸を伴う

・胸痛や胸部圧迫感を伴う

・心臓病を指摘されたことがある

・高血圧、糖尿病、脂質異常症がある

​

心不全では、症状がゆっくり進行すると本人が気づきにくいことがあります。

​

「最近、階段を避けるようになった」

「家族について歩けなくなった」

といった日常生活の変化も重要なサインです。

​

​

こんな息切れ・呼吸苦は救急受診を検討してください

​

息切れの中には、緊急治療が必要な病気があります。

​

特に次のような場合には、夜間や休日であっても救急受診を検討してください。

​

・突然、強い呼吸困難が出現した

・安静にしていても呼吸が非常に苦しい

・息苦しくて会話が困難

・強い胸痛や胸の圧迫感を伴う

・冷や汗、吐き気を伴う

・意識がもうろうとしている

・失神した

・唇や顔色が青紫色になっている

・血痰・喀血を伴う

・片方の足が急に腫れた後に息苦しくなった

​

症状が強い場合には、自分で運転せず119番への連絡を検討してください。

​

​

緊急ではなくても受診したほうがよい息切れ

​

次のような場合には、症状が軽くても医療機関への受診をおすすめします。

​

・息切れが数日〜数週間続いている

・息切れが徐々に悪化している

・以前は問題なかった階段や坂道で息切れする

・歩ける距離が以前より短くなった

・動悸を伴う

・足のむくみを伴う

・横になると息苦しい

・夜中に息苦しくなって目が覚める

・心雑音や心電図異常を指摘されたことがある

・高血圧、糖尿病、脂質異常症など心臓病の危険因子がある

​

特に「以前と比べてどう変化したか」が重要です。

​

​

息切れ・呼吸苦は何科を受診すればよい?

​

原因がはっきりしない場合には、まず内科を受診して原因を調べるのが一般的です。

​

一方、

​

・動悸を伴う

・胸痛を伴う

・足がむくむ

・横になると息苦しい

・心臓病の既往がある

・高血圧・糖尿病・脂質異常症がある

・健診で心電図異常や心雑音を指摘された

​

といった場合には、循環器内科での評価が適しています。

​

咳、痰、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)などの症状が目立つ場合には、呼吸器疾患の評価も必要となります。

​

原因が一つとは限らず、例えば高齢者では「心不全+貧血」「心臓病+肺疾患」のように複数の要因が重なっていることもあります。

​

​

息切れ・呼吸苦ではどのような検査をする?

​

症状や診察所見に応じて検査を選択します。

​

心電図

​

不整脈、心筋梗塞の既往、心臓への負担などを調べます。

​

ただし、不整脈が一時的にしか出ない場合には、通常の心電図だけでは捉えられないことがあります。

​

血液検査

​

血液検査では、

​

・貧血

・感染症

・腎機能

・甲状腺機能

・心不全を示唆するBNP・NT-proBNP

​

などを必要に応じて調べます。

​

胸部X線検査

​

心臓の大きさ、肺うっ血、肺炎、胸水などを確認します。

​

心臓超音波検査(心エコー)

​

心臓の動き、弁膜症、心臓の大きさなどを詳しく評価します。

心不全や心臓弁膜症が疑われる場合に重要な検査です。

​

その他の検査

​

必要に応じて、

​

・長時間心電図

・呼吸機能検査

・CT検査

・冠動脈の評価

​

などを行います。

​

すべての検査を一度に行うのではなく、症状や診察所見から可能性の高い病気を考えて検査を選択します。

​

​

「年齢のせいの息切れ」と「病気による息切れ」は区別できる?

​

症状だけで完全に区別することは困難です。

​

特に重要なのは、以前と同じ活動で息切れするようになったかどうかです。

​

例えば、

「半年前までは2階まで普通に上れていたのに、最近は途中で休む」

という変化があれば、単純な加齢だけではなく心臓・肺・貧血などの病気を一度確認する価値があります。

​

年齢を重ねるほど心不全や心臓弁膜症などの頻度も高くなるため、「高齢だから息切れして当然」とは考えないことが大切です。

​

​

よくある質問

​

Q.階段だけで息切れします。受診したほうがよいですか?

​

以前から変わらず症状が軽い場合には体力の影響も考えられます。

​

一方、以前は問題なかった階段で最近息切れするようになった場合には、心不全、心臓弁膜症、貧血、肺疾患などを調べることをおすすめします。

​

Q.息切れだけでも心臓病の可能性がありますか?

​

あります。

​

心不全や狭心症では、必ずしも胸痛や強い動悸が出るわけではありません。

​

特に高齢者や糖尿病のある方では、「動くと息苦しい」ことが心臓病の主な症状となる場合があります。

​

Q.横になると息苦しくなるのはなぜですか?

​

横になることで心臓に戻る血液量が増え、心不全がある場合には肺のうっ血が悪化して呼吸が苦しくなることがあります。

​

「座ると楽になる」「枕を高くすると楽になる」という場合には、心不全を示唆することがあります。

​

Q.息切れがあるときは循環器内科と呼吸器内科のどちらですか?

​

胸痛、動悸、むくみ、起坐呼吸、心疾患の既往などがある場合には循環器内科が適しています。

​

一方、咳、痰、喘鳴などが中心の場合には呼吸器疾患の可能性も考えます。

​

判断が難しい場合には、まず内科で評価を受けて構いません。

​

Q.運動不足でも息切れしますか?

​

運動不足や筋力低下でも息切れは起こります。

​

ただし、「最近急に息切れするようになった」「以前より明らかに悪化した」という場合には、運動不足と決めつけず病気の有無を確認することが重要です。

​

​

豊田市で息切れ・呼吸苦が気になる方へ

​

息切れは、単なる運動不足や加齢による場合もありますが、心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症などの心臓病の初期症状として現れることがあります。

​

特に、

​

・最近、階段や坂道で息切れするようになった

・歩ける距離が短くなった

・動悸を伴う

・足がむくむ

・横になると息苦しい

・高血圧・糖尿病・脂質異常症がある

​

といった場合には、一度循環器疾患について評価することをおすすめします。

​

豊田市周辺で息切れ・呼吸苦が気になる方は、花園内科・循環器科へご相談ください。

​

​

まとめ

​

息切れ・呼吸苦の原因はさまざまですが、特に重要なのは心臓・肺・血液の病気を見逃さないことです。

​

心不全、不整脈、狭心症、心臓弁膜症、喘息、COPD、肺炎、肺血栓塞栓症、貧血などが代表的な原因です。

​

中でも、

「以前できていたことをすると息切れするようになった」

という変化は重要です。

​

突然の強い呼吸困難、胸痛、意識障害などがある場合には救急受診が必要です。

​

緊急性が高くなくても、息切れが続く・徐々に悪化する場合には、年齢や運動不足だけのせいにせず、一度医療機関で原因を確認しましょう。

​

​

参考資料

​

・日本循環器学会/日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」

・日本循環器学会「一般のみなさまへ各疾患のご案内:心不全」

・日本呼吸器学会「呼吸器Q&A:坂道や階段を登る時、息が切れます」

・日本呼吸器学会「呼吸器Q&A:発作性もしくは突然呼吸が苦しくなります」

​

​

監修・更新

​

監修:花園内科 院長 伊藤 創

医学博士

日本内科学会認定内科医

日本循環器学会認定 循環器専門医

​

最終更新日:2026年8月26日

​

※本ページは一般的な医学情報を提供するものであり、個々の患者さんの診断・治療を目的とするものではありません。症状が強い場合や急激に悪化した場合には、速やかに医療機関を受診してください。

bottom of page