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むくみ(浮腫)の原因と受診目安|心不全・腎臓病との関係、何科を受診するかを解説

「夕方になると足がむくむ」

「靴下の跡がなかなか消えない」

「最近、足が腫れて体重も増えてきた」

「朝になると顔やまぶたがむくんでいる」

このような症状を一般に「むくみ」、医学用語では浮腫(ふしゅ)といいます。

長時間立っていた日や塩分の多い食事をとった後など、一時的にむくむことは珍しくありません。

一方で、むくみの中には、心不全、腎臓病、肝臓病、静脈の病気、甲状腺疾患などが隠れていることがあります。

特に、

・息切れを伴う

・数日で体重が急に増えた

・両足のむくみが続く

・片足だけ急に腫れた

・尿の量が減った

といった場合は、一度医療機関で原因を確認することが大切です。

このページでは、むくみの主な原因、危険な症状、病院を受診する目安、何科を受診すればよいかについて解説します。

むくみ(浮腫)とは?

むくみとは、皮膚や皮下組織に通常より多くの水分がたまった状態です。

特に足では、すねや足の甲を指で数秒間押したときに、へこんだ跡がしばらく残ることがあります。

むくみは、

・両足に出る

・片足だけに出る

・足だけでなく顔や手にも出る

・朝に強い

・夕方に強い

など、原因によって現れ方が異なります。

そのため、「むくんでいるかどうか」だけではなく、どこが、いつから、左右どちらに、どのようにむくんでいるかが原因を考える重要な手がかりになります。

むくみで早めの受診が必要なのはどんなとき?

ほとんどのむくみが緊急の病気というわけではありません。

しかし、次のような症状を伴う場合には注意が必要です。

息苦しさ・呼吸困難を伴う

足のむくみに加えて、

・階段や坂道で息切れするようになった

・横になると息苦しい

・夜中に息苦しくて目が覚める

・胸が苦しい

・数日から1週間程度で急に体重が増えた

といった症状がある場合には、心不全の可能性があります。

心不全では心臓から血液を送り出す働きなどが低下し、体内に水分がたまることで、足のむくみや体重増加、息切れが現れることがあります。

強い呼吸困難や胸痛がある場合は、通常の外来受診を待たず、救急受診を検討してください。

心不全について詳しくはこちら

片足だけが急に腫れた

片方の足だけが急に腫れ、

・痛みがある

・赤みがある

・熱っぽい

・左右で足の太さが明らかに違う

場合には、深部静脈血栓症(DVT)などを考える必要があります。

深部静脈血栓症は、足の深い静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。

血栓が肺に移動すると肺血栓塞栓症(肺塞栓症)を起こすことがあります。

片足の急な腫れに加えて、突然の息苦しさ、胸痛、失神などがある場合には、速やかな救急受診が必要です。

尿が減った・顔までむくむ

足だけでなく顔やまぶたまでむくむ、尿量が明らかに減った、尿検査で蛋白尿を指摘されている場合などには、腎臓の病気が原因となっている可能性があります。

むくみの主な原因

むくみにはさまざまな原因があります。

大きく分けると、生活習慣などによる一時的なものと、病気によって起こるものがあります。

1.長時間の立ち仕事・座りっぱなし

長時間立っていたり、デスクワークや長距離移動などで座ったままの状態が続いたりすると、重力の影響で足に血液や水分がたまりやすくなります。

このタイプでは、

・朝はあまりむくんでいない

・夕方になると足がむくむ

・両足に同じように出る

・一晩寝ると改善する

といった特徴がみられることがあります。

2.塩分の多い食事

塩分を多く摂取すると、体内に水分を保持しやすくなり、むくみが出ることがあります。

外食や加工食品が続いた後など、一時的に体重が増えてむくみを感じることもあります。

ただし、心臓病や腎臓病がある人では、塩分摂取をきっかけにむくみが悪化することもあります。

3.心不全などの心臓病

むくみの原因として重要なのが心不全です。

心不全では血液の流れが滞る「うっ血」が起こり、足を中心に水分がたまりやすくなります。

心不全によるむくみでは、

・両足がむくむ

・足の甲やすねがむくむ

・体重が増える

・階段や坂道で息切れする

・夜間に息苦しくなる

・横になると呼吸が苦しい

などの症状を伴うことがあります。

特に、高血圧、心筋梗塞、心臓弁膜症、心房細動などの不整脈、心筋症がある人では注意が必要です。

→ 関連ページ:高血圧について

→ 関連ページ:心不全について

→ 関連ページ:心房細動について

→ 関連ページ:心臓弁膜症について

4.腎臓病

腎臓には、余分な水分や塩分を尿として体外に排出する役割があります。

腎機能が低下すると水分や塩分が体内にたまり、むくみが出ることがあります。

また、ネフローゼ症候群などでは尿から大量の蛋白が失われ、血液中のアルブミンが低下することで強いむくみが起こることがあります。

腎臓病では、

・足だけでなく顔やまぶたもむくむ

・尿が減る

・尿が泡立つ

・健診で蛋白尿を指摘された

・腎機能の低下を指摘された

などが手がかりになることがあります。

5.肝臓病・低アルブミン血症

進行した肝臓病では、血液中のアルブミンという蛋白が低下し、血管内の水分が組織に漏れやすくなることがあります。

その結果、

・足のむくみ

・お腹に水がたまる「腹水」

・腹部膨満

・体重増加

などがみられることがあります。

栄養状態の低下などによってアルブミンが低下した場合にも、むくみが起こることがあります。

6.下肢静脈瘤・静脈のうっ滞

足の静脈には、血液が心臓へ戻る際に逆流しないよう「弁」があります。

この弁の働きが低下すると足に血液がたまりやすくなり、むくみが生じます。

・夕方にむくみが強い

・足がだるい、重い

・足の血管が浮き出ている

・皮膚に色素沈着がある

などの場合には、下肢静脈瘤や慢性静脈不全が原因となっていることがあります。

7.リンパ浮腫

リンパ液の流れが悪くなることで、腕や足がむくむことがあります。

がんの手術でリンパ節を切除した後などに起こることがありますが、明らかなきっかけがなく発症する場合もあります。

慢性的に続くことが多く、通常の心不全などによるむくみとは治療方法が異なります。

8.甲状腺機能低下症などの内分泌疾患

甲状腺ホルモンが不足する甲状腺機能低下症でも、顔や手足のむくみが現れることがあります。

・寒がりになった

・疲れやすい

・便秘

・脈が遅い

・体重が増えた

などを伴うことがあります。

9.薬の副作用

薬の種類によっては、副作用として足のむくみが生じることがあります。

例えば、一部の

・降圧薬

・消炎鎮痛薬

・糖尿病治療薬

・ステロイド薬

・ホルモン製剤

などでむくみがみられることがあります。

薬を開始・変更してからむくみが出てきた場合は、処方した医師に相談してください。

自己判断で薬を中止することは避けてください。

「片足だけのむくみ」と「両足のむくみ」で原因は違う?

原因を考えるうえで、片足だけなのか、両足なのかは非常に重要です。

片足だけむくむ場合

考えられる主な原因は、

・深部静脈血栓症

・下肢静脈瘤・静脈不全

・リンパ浮腫

・炎症・感染症

・外傷

などです。

特に、これまでなかった片足の腫れが突然出現した場合には注意が必要です。

両足がむくむ場合

考えられる主な原因は、

・長時間の立位・座位

・心不全

・腎臓病

・肝臓病

・低アルブミン血症

・甲状腺機能低下症

・薬剤

などです。

ただし、むくみの左右差だけで病気を診断することはできません。

むくみではどのような検査をする?

むくみの原因を調べるためには、まず症状や経過を詳しく確認します。

診察で確認すること

・いつからむくんでいるか

・片足か両足か

・朝と夕方のどちらが強いか

・息切れや胸痛はないか

・最近体重が増えていないか

・尿量に変化はないか

・服用中の薬

・心臓病・腎臓病・肝臓病などの既往

などを確認します。

必要に応じて行う検査

症状に応じて、

・血液検査

・尿検査

・心電図

・胸部X線検査

・心臓超音波(心エコー)検査

・血管超音波検査

などを行い、原因を調べます。

特に、むくみに息切れや体重増加を伴う場合には、心不全の可能性も考えて心臓の評価を行います。

むくみは何科を受診すればいい?

原因が分からない場合には、まず内科を受診して構いません。

特に、

・むくみ+息切れ

・むくみ+体重増加

・心臓病の既往がある

・高血圧がある

・動悸を伴う

といった場合には、循環器内科での評価が適しています。

一方、

・蛋白尿がある

・腎機能低下を指摘されている

・顔や全身のむくみが強い

場合には腎臓内科、片足の急な腫れや静脈瘤が疑われる場合には循環器内科や血管外科など、症状に応じた診療科での評価が必要になることがあります。

まず内科で原因を調べ、必要に応じて専門医療機関へ紹介してもらう方法でも問題ありません。

むくみの治療は原因によって異なります

むくみがあるからといって、すべての人に利尿薬が必要なわけではありません。

治療で最も重要なのは、なぜむくんでいるのかを明らかにすることです。

例えば、

・心不全 → 心不全そのものの治療

・腎臓病 → 腎疾患や体液量の管理

・静脈不全 → 運動・圧迫療法など

・薬剤性 → 原因薬剤の見直し

・甲状腺疾患 → 甲状腺疾患の治療

など、原因によって治療法は大きく異なります。

市販の利尿作用をうたう製品などで自己判断して対応するのではなく、むくみが繰り返す・長く続く場合には原因を一度確認することが大切です。

自宅で確認してほしいポイント

むくみが気になる場合は、次の点を確認しておくと診察の参考になります。

・いつからむくみ始めたか

・右足・左足・両足のどこか

・朝と夕方で変化するか

・毎日の体重

・息切れの有無

・胸痛・動悸の有無

・尿量の変化

・最近開始・変更した薬がないか

特に心不全が疑われる場合、体重の急な増加は体内に水分がたまっているサインになることがあります。

むくみについてよくある質問

Q.夕方だけ足がむくみます。病気でしょうか?

長時間の立ち仕事やデスクワークなどによって、一時的にむくむことはよくあります。

一晩休むと改善し、息切れなどの症状がなければ必ずしも病気とは限りません。

ただし、以前よりむくみが強くなった、毎日続く、体重が増えてきた、息切れを伴う場合には一度受診をおすすめします。

Q.むくみがあると心不全ですか?

いいえ。

むくみには、長時間の立位、静脈のうっ滞、腎臓病、肝臓病、甲状腺疾患、薬剤など多くの原因があります。

ただし、むくみに息切れや急な体重増加を伴う場合には心不全を疑う重要な手がかりとなります。

Q.足を押してへこむと心不全ですか?

指で押した跡が残る「圧痕性浮腫」は心不全でみられることがありますが、腎疾患、静脈不全、低アルブミン血症などでも起こります。

押した跡だけで心不全かどうかを判断することはできません。

Q.片足だけむくんでいます。様子を見ても大丈夫ですか?

慢性的な静脈瘤などでも片足のむくみは起こりますが、突然片足だけが腫れた場合には深部静脈血栓症を除外する必要があります。

痛み、赤み、熱感などを伴う場合は早めに受診してください。

息苦しさや胸痛を伴う場合には救急受診を検討してください。

Q.むくみは何科を受診すればよいですか?

原因が分からなければ、まず内科で問題ありません。

息切れ、体重増加、動悸などを伴う場合や心臓病の既往がある場合には、循環器内科での評価が適しています。

まとめ|「いつものむくみ」と決めつけず、続く場合は原因を確認しましょう

むくみは、長時間立っていたことなどによって起こる一時的なものから、心不全や腎臓病など治療が必要な病気まで、さまざまな原因で起こります。

特に、

・むくみが何日も続く

・徐々に悪化している

・息切れを伴う

・急に体重が増えた

・尿量が減った

・片足だけ急に腫れた

場合には、一度医療機関を受診してください。

むくみ+息切れ・体重増加は心不全のサインとなることがあります。

「年齢のせい」「立ち仕事だから」と決めつけず、気になるむくみが続く場合には、原因を調べることが大切です。

参考資料

・日本循環器学会・日本心不全学会「2025年改訂版 心不全診療ガイドライン」

・日本循環器学会・日本肺高血圧・肺循環学会「2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン」

・日本腎臓学会「CKD診療ガイド2024」

・国立循環器病研究センター「心不全」

監修・更新

監修:花園内科 院長 伊藤 創

医学博士

日本内科学会認定内科医

日本循環器学会認定 循環器専門医

最終更新日:2026年8月26日

※本ページは、むくみ(浮腫)に関する一般的な医療情報を提供することを目的としています。実際の診断や治療方針は、症状、既往歴、診察所見、検査結果などによって異なります。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関へご相談ください。

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