睡眠時無呼吸症候群
いびきがひどい、夜きちんと寝ているつもりなのに昼間に強い眠気がある、そのような症状がある方は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
この病気の方は日本に約200万人いると言われていますが、その約85%は診断されていないと言われています。
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群とは、様々な理由で睡眠中に気道が閉塞し、無呼吸、低酸素状態になってしまう病気です。
肥満の方に多いですが、特にアジア人では顎が小さいなどの理由で、肥満でなくてもこの病気になっている方も多くいます。
次のような症状の方は要注意です。
・大きないびきをかく。
・睡眠中に呼吸が止まっていると言われる(数秒~数十秒呼吸が止まり、その後突然「ガ~~」といびきをかきだすのが特徴です)。
・座ってうとうとしているときに、急に喉が詰まったようになって、『カッカッカッカッ、クーッ』となって目が覚めることがある。
・昼間の眠気が非常に強い(特に会議中、運転中などの集中しなくてはいけない時に、眠くて起きていられないことがあります)。
・起きた時に頭痛やだるさを感じる。
睡眠時無呼吸症候群を放っておくと
睡眠時無呼吸症候群によって運転中に非常に強い眠気が襲い、居眠り運転をした結果、死亡事故を起こしてしまったというケースが、これまで何件も報道されています。
思い当たる症状がある方は、放置するのは非常に危険です。
また、睡眠中に低酸素状態に陥ることで、高血圧や重篤な不整脈、心不全などの病気を引き起こしてしまう場合があります。
睡眠時無呼吸症候群の検査
花園内科では、自宅で行うことのできる簡易検査を行っています。
簡易検査は、図のように簡単な機械を装着して、自宅で睡眠中のデータをとります。
検査の結果、明らかに重症の睡眠時無呼吸症候群があれば、後述するCPAP(持続式陽圧呼吸療法)の適応となります。
簡易検査の結果次第では、脳波などを含めたさらに精密な無呼吸の検査が必要になる場合もあります。(その場合は入院での検査が必要なため、適切な病院をご紹介します)
睡眠時無呼吸症候群の治療
肥満が原因の方は、減量することによって症状か改善することがあります。
ある程度進行した睡眠時無呼吸症候群の方に、最も治療効果が高いのがCPAP(持続式陽圧呼吸療法)です。
CPAPは図のような機械を使って、鼻から空気を送り込み、閉じてしまっている気道を開いてあげる治療法です。
CPAPを使うと、すぐにいびきや昼間の眠気が無くなります。
また、CPAPで睡眠時無呼吸の治療を行うことで、高血圧が改善したり、将来的に心臓病にかかるリスクを減らすことができる、という研究報告があります。
寝ている間、機械を装着するので、最初は慣れない方が多いですが、治療効果が非常に高いため、多くの方は慣れていきます。
CPAPを使い始めたら、月1回の外来通院が必要になります。
文責: 循環器内科専門医 伊藤創